カウンセリングとは
カウンセリングとは対話を通して心をゆっくりと見つめていくことによって、悩みや囚われといった心の重荷が軽くなり生きやすくなっていくことをめざした心理相談・支援方法のひとつです。
私たちは大なり小なり傷ついた経験や大切な人や物事を失った体験を心の中に抱えながら生きています。生活している中にも何かしら悩みやストレスがあるものです。それでもふだんは自分なりに距離をおいたり解消したりしながら毎日を過ごしており、身近な人に話して楽になることもよくあります。でも、「相手に心配や負担をかけるのではないか」、「ちっぽけな悩みと思われるんじゃないか」などと考えると話すことをためらってしまいます。過去に人に話して傷ついた体験があると一人で我慢してしまうこともあります。
そんな時にカウンセリングが役に立ちます。当院では臨床心理学の知識や技術を有し、秘密を守る義務(守秘義務)のある心理専門職(臨床心理士・公認心理師)が担当します。
カウンセリングの流れ
カウンセリングは話し手(患者様やご相談者)と聴き手(心理士)の協同作業と考えます。主に1対1の個人面接の中で、抱えている悩みや痛みからいま感じたり考えたりしていることまで話し手の方主導で自由にお話しいただきます。
聴き手である心理士は、心を見つめることや話すことそのものへの不安を念頭におきつつ時折心に浮かんだことを問いかけたり確認したりしながらゆっくりと耳を傾けていきます。
そうした対話を続けるうちに心の中の小さな気づきや変化が共有されるようになり、悩みに向き合う糸口が見えてきます。例えば、日常の生活場面を一緒にたどることで自分の考えや気持ち、行動のパターンが見えてきたり、面接室での二人の関係性の中に日常での対人関係のあり方が現れてきたりします。言葉による対話だけでなく身体の緊張を和らげることで心身のバランスを整える方法や、遊びや絵画などに表れる心のあり様を理解する方法によって少しずつ気持ちが軽くなっていくのに気づくこともあります。
自分の心に向き合う作業には不安やつらさも伴いますが、その道のりを一人ではなく心理士とともに歩むのがカウンセリングの大きな特徴といえます。
また、カウンセリングに先立って心理検査をご提案することがあります(医療保険適用可)。
心理検査は心理学的な理論や根拠に基づいて作成され標準化されており、はい・いいえで答えるものから文章や絵を描くもの、問題に答えたり作業したりするものまで様々な方法があります。それらをいくつか組み合わせて行うことで現在の性格傾向や認知機能の特徴を多面的、客観的に理解することができます。
検査というと自分を暴かれるような気持ちになるかもしれませんが、心理検査は人の善し悪しを測るものでは決してありません。人の性格や考え方、感じ方は一面的にとらえられるものではありませんし、生きていく中で変わっていく部分もあります。ただ、自分のことは知っているようでいて案外わからないものですので、ご自身のことを様々な側面から理解することがいまの悩みを考えるうえで助けになると判断した時に心理士からご提案します。受けるかどうかは話し合いの上でお決めいただけます。
ご相談事例はこちら
※以下の事例は心理士の経験をもとにした架空のものです。
子どもの発達相談を勧められた
- 小さな子どもを育てているAさん。保育園から次男の発達相談を勧められ不安になり相談に来られました。次男は1歳半健診で言葉遅れを指摘されましたが2歳になる前には言葉が出るようになったためそのままにしていました。最近他児を叩いたり噛んだりすることが増え、気になっていたものの夫にも相談できずにいたとのことでした。心理士がAさんの不安を次男の発達の様子とともに聴いていったところ、Aさんは子どもの頃から何をするにも人より遅く母親から「鈍くさい」と言われて育ち、次男の問題は自分の子育てが原因ではないかと不安で誰にも相談できなかったと話されました。心理士は子育ての苦労をねぎらうとともに、気持ちを言葉でうまく伝えられなくて歯がゆくて叩いてしまうこともあるかもしれないと伝えたところ、「私も子供の頃、自分の気持ちをうまく言えずに悲しくなっていました。息子も困っているかもしれない」と言い、まずは夫とよく相談してみることになり初回面接でいったん終了となりました。数日後、Aさんから発達相談を予約したとのお電話をいただきました。
子どもにイライラする
- 言うことを聞かない小学生の息子にイライラする毎日のBさん。このままでは息子に手を挙げてしまうのではないかと不安になり来談されました。心理士と一緒にイライラした時の出来事を状況・考え・感情に分けて書き出していったところ、息子よりも疲れていることを理由に何もしない夫への怒りが強いこと、怒りの奥に悲しさや虚しさ、孤独感があることがわかってきました。その後、自分の思いを夫に率直に伝えたところ夫ともよく話ができるようになり、今では協力して子育てに取り組んでいるとのことです。「自分の本当の気持ちが整理できたので夫ともちゃんと話せました。夫にわかってもらえないと決めつけていたのは私だったんですね。息子も夫との時間が増えて嬉しそうです」と話され数回の面接は終了となりました。
学校に行けない
- 学校を休みがちになったCさんが心配したお母さんに連れられて来談されました。初回面接では趣味のアニメや手芸の話はしますが、困っていることは「別にない」と何も話しません。それでも「暇だから」とカウンセリングには合意され定期的に来談することになりました。心理士と一緒に絵を描いたりアニメの話をしたりして過ごす回が続いたある日、Cさんは入室するなり「ここはいつも一緒だね」とぽつりとつぶやき「悪気はなかったんだけど友達を怒らせてしまって、それから話すのが怖くなった」と話し始めました。それから数回後、「ここはいっつもおんなじで安心だった。でも、そろそろ卒業する」と言って面接は終了となりました。今でも時々は休みながらも学校には通っているとのことです。
料金
カウンセリング料 |
50分 |
5,500円 |
キャンセル料(変更) |
前診療日の診療終了時刻までにご連絡いただいた場合 |
なし |
当日の開始時刻までにご連絡いただいた場合 |
3,300円 |
当日の開始時刻後にご連絡いただくかご連絡がない場合 |
5,500円 |
※初回面接、継続面接ともに5,500円(税込)の前払い制です。医療保険や各種公費は適用されません。
ご予約から初回面接まで
お問合せやご予約は当院受付または電話でお受けいたします。
※診療時間内にお電話ください。Web予約は行っておりません。ご了承ください。
- ご予約
- 予約担当者が簡単な相談内容とご希望の曜日や時間帯をうかがい、初回面接の予約をお取りします。
- 受付の混雑や予約担当者の不在によりお取次ぎできない場合があります。その際はお手数ですが留守番電話にメッセージとご連絡先をお残しください。折り返し当院から連絡いたします。
- 精神科や心療内科を受診中の方には、情報提供書をお願いすることがあります。あらかじめご承知おきください。
- 電話でのご相談はお受けしておりません。
- 初回面接
- 初回面接時は同意書のご説明を含め、約1時間30分を予定しています。
- 当院に初めて来院される方は、問診票のご記入のため予約時間の15分前までにお越しください。
- 当院に受診中の方は主治医の診察と同日にお受けいただくことができません。ご了承ください。
- 初回面接も料金は5,500円です。前払い制ですので2回分(当日と次回分)をご準備ください。
- 継続面接となった際には固定の曜日と時間を設定します。あらかじめ候補をいくつかお考え下さい。
- ご相談の内容によっては適切な相談・治療機関をご案内する場合があります。