相談例と支援方法
様々なお悩みに
例)対人緊張が強く、職場で話すのがつらい(3つのアプローチ)
① 身体から心に近づく(リラクセーション法、臨床動作法)
私たちの心と身体は密接につながっていると言われています。緊張していると肩が上がったりお腹が痛くなったりするのは、心の状態が体の状態に影響を及ぼしているといえます。
リラクセーション法では、呼吸や体の動きを通して心身をリラックスさせ、交感神経(緊張)と副交感神経(リラックス)のバランスを整え、気持ちや生活リズムの安定を図ります。
臨床動作法は、自分の体を動かすというプロセスの中で、自分の心や体の状態に気づき、無理のない体の動かし方を獲得していきます。その体験を通して、無理のない自分らしい生き方を見つけられるように援助していきます。
例
- 臨床動作法とカウンセリングを並行して継続する(25分ずつ)
- ①常に全力で頑張りすぎていたことへの気づき、②力を抜く感覚を覚える、③身近な人と話すときの緊張感が和らぐ
- 日常生活でも疲れがたまらないように工夫ができるようになり、気持ちが安定する
② ストレス対処・セルフケアに取り組む
自分の現状や抱える問題をよりよく理解し、それに自分で対処できるようにするための考え方や技法をご自身に学んでいただく、教育的なカウンセリングです。日常生活において今よりもさらに上手に自分を助けられるようになっていただくことを目的とします。
相談に来られた方と心理士が話し合いながら、どうすれば問題や困り事から抜け出せるか、一緒に知恵を出し合い、考えていきます。また、話し合いだけではなく、いろいろな作業を話し合いの中で一緒にしたり、日常生活の中で体験してきていただいたりします。話し合いの場だけでなく、日常生活でも体験して頂くことで、より効果的に問題解決やセルフケアが出来るようになっていきます。
例
- 対人緊張のメカニズムを理解する。
- 実生活で、対人緊張の強い場面や職場で人と話す時に頭に浮かんでくる考えを観察する。
- 観察してきた考えを図に書き表しながら、さらに対人緊張のメカニズム(悪循環)を、行動・感情・身体反応ともに総合的に理解していく。
- 悪循環を断つためにはどういう風に考えたらよいか、どういった行動をとったらよいか、心理士との共同作業で一緒に考える。
- 話し合った考え方や行動を実生活の中で試してみる。
- 話し合いと体験を繰り返しながら、少しずつ自分でストレス対処ができるようになっていく。
③ 症状の背景にある心の動きを理解する
困りごとや症状の背景には自分でも意識しにくい心の動きが関係しており、目の前の症状や問題に対処するだけでは行き詰まりを感じてしまうことがあります。
カウンセリングでは思いついたことをそのままお話しいただきながら、心理士と共にその奥にある心の動きをゆっくりと見つめていきます。時には見ないようにしていた面に触れて辛くなることもありますが、次第に自分自身の心の動きをより深く理解できるようになり、囚われや葛藤が軽くなっていくのに気づきます。
例
- 思いついたことを自由にお話しいただきながら、心理士が伝わってきた気持ちや考えを伝え返していく。話すうちに意識していなかった考えや感情(人にダメだと思われる怖さ、幼い頃に感じていた両親の期待など)に気づいていく。
- 対人緊張にまつわる感情が今ここでの面接場面にも表れていること(心理士にダメだと思われないかという不安など)に気づき、より実感をもって問題を理解できるようになる。
- 面接を続けるうちに対人緊張が和らいでいき、日常の人との関わりにも気負いがなくなっていく。