ブログ|福岡市西区姪浜の心療内科・精神科|ひとやすみこころのクリニック

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自分の居場所

新年度が始まって1ヶ月が過ぎました。新しい生活を始めた方々の中には「なかなかなじめない」、「居場所がない」と感じている方がいるかもしれません。また、学校や職場を休んでいる人たちの中には苦しい場所から一時的に離れた安堵感と同時に、本来居るべき場所に自分だけが居られないというつらさを感じている方もいると思います。

 

“居場所”は広辞苑によると「いるところ、いどころ」と定義されますが、物理的な場所を指すだけではなく、安心していられるところ、ありのままの自分で居られるところなど、心理的ないどころとなる空間や人を指す言葉としてよく使われます。居場所を求める気持ちは社会に生きる人間にとって大切な欲求のひとつであり、居場所がないと感じるのはたいへん心細いものです。

 

また、これまで自分の居る場所の中で受け入れられた経験が少なかったり、我慢することが多かったりした人の中には相手を優先する考え方が習慣になっているために、自分の心の中が「空っぽ」のように思える、つまり自分の心の中にも自分の居場所がないと感じやすい人もいます。

 

今回は、そんな「居場所がない」思いをしている方と一緒に、自分の居場所さがしをしてみたいと思います。

  • 今の生活で、時々立ち寄るところや顔を合わせる人を思い出してみる。

たとえばコンビニやカフェなど一人で居られる場所はありませんか? 八百屋のご主人やマンションの管理人さん、行きつけの床屋など短い会話を交わすだけだけどちょっとホッとする人はいませんか?

 

  • これまでの生活の中で、安心できた場所や人などを思い出してみる。

例えば小学校の先生や習い事の教室、部活動の部室、今は亡きお祖母さんなど、今は疎遠でもその当時自分の居場所だったところはありませんか?

 

できるだけたくさん書き出して、以下のように自分を中心にした円の中に埋めていきましょう。こんなところも居場所になるのかなと思うところでもいいのでどんどん出していきましょう。

居場所というと家庭や職場、学校など、いま一日の大半を過ごしているところが思い浮かびますし、そこが居場所でなくなると何もなくなってしまったように思いがちですが、日々の生活の中にも実はちょっとホッとする場所はあるものです。そして、今だけでなくこれまでの生活にも当時のあなたを支えてくれた居場所が確かにあるはずです。そう考えると「一人ぼっちじゃなかった」と思えて少し力が湧いてきませんか。

 

心理学者の河合隼雄氏は「居場所がちゃんとあると、そこにいて自分で悩む」と述べています。人は心の拠り所になる場所や人が一つでもあると、今のつらさにも耐えることができるのではないかと思います。当院も、皆様の居場所のひとつになれれば嬉しいです。

 

臨床心理士・公認心理師 石澤 桂子

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