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先日、近所の公園に足を運んだ際に、淡いピンク色のつぼみやふんわりと広がった桜の花を目にしました。また、八百屋さんに山菜やタケノコなど春の旬の食材が並んでいたり、日差しが暖かかったりと、日ごとに春らしさを感じるようになってきましたね。
さて、春は花が咲き誇る素敵な季節ですが、別れや出会いといった、変化を多く体験する季節でもあります。そんなとき、新しい環境や出会いにわくわくして楽しみな気持ちが出てくる場合もあれば、不安を感じたり、寂しさを感じたり、イライラしやすかったり…ネガティブとされる感情が自分の中に出てくることがあるかもしれません。今回はそうしたネガティブとされる感情の中でも、この時期に感じる方の多い「不安」の理解と付き合い方についてご紹介したいと思います。
①感情とは?
感情とは、私たち人間に備わっている機能の一つです。これまでの経験から、ネガティブな感情は、よくないもので抑えなければいけない、感じてはいけないと思われている方もいるかもしれません。ですが、どんな感情も自分を守るために備わったもので、基本的には自分の味方です。感情の特性や機能を知って、付き合い方さえ間違わなければ、ストレスは減り、生活の質は上がるといわれています。
②「不安」という感情ってどんなもの?
「不安」という感情の役割は「安全が確保されていない」ということを知らせることです。例えば、初めての場所に行くとき不安を感じるのは、それが未知の場所であり、安全かどうかわからないからです。また、初めての人に会うときの不安は、相手が危険人物かもしれないという場合もあれば、自分とうまくいかない人だったらどうしようという場合もあるかもしれません。
③「不安」への対処方法
「不安」を感じたら、その安全じゃない状態や状況について、一度、冷静に考えてみます。
Q 「不安」を感じる状態や状況=安全じゃない状態や状況は変えることができるものでしょうか?それとも避けることができないものでしょうか?
⇒減らすことが可能な不安なら、不安を減らすための工夫をする
例えば…新しい職場での仕事内容や一日の流れが気になる→すでにそこで働いている人から直接話を聞いてみるなど、「未知」を「既知」にする
⇒減らすことが不可能な不安なら、どう行動したら良いのか、客観的に考えてみる
例えば…新しい職場に行くことが不安→「みんな不安に感じるはず」「不安に思う自分を弱いと責めない」など不安を感じることを自然なこととして認識する
→「安心して話せる人に話してみる」「紙に状況や自分の気持ちを書き出してみる」など、人に話したり目に見える形にして、不安から距離をとる
④「不安」が強すぎるときはどうする?
「不安」が強すぎて、何もできなくなってしまったら、まずは不安を和らげましょう。
⇒不安なときは、身体も不安反応を起こしていることが多いので、鼻で細く長い呼吸をしながら「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせてみたり、のんびりウォーキングやランニングをしたりしてみましょう。落ち着いたら、今の状況を冷静に振り返ってみます。
参考になる内容はあったでしょうか?自分の感情との付き合い方は簡単にはいかないものだと思いますが、自分の中にある感情を否定せずに向き合ってみることは、自分自身に正直になること、また自分を大事にすることでもあります。
みなさんが、少しでも穏やかにこの季節をお過ごしになれるといいなと思っています。
臨床心理士・公認心理士 穂口まな