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徐々に夏らしい気候になってきましたね。水分補給をしっかりしつつ、夏本番に備えたいと思います。
さて、今日は認知再構成法についてご紹介します。認知再構成法とは認知行動療法の技法のひとつです。認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy;以下CBT)とは、簡単にいうと「ストレスに気づきを向け、その問題を認知と行動の工夫によって対処し、上手に乗り越えるための技法」です。CBTは基本モデルに沿って、問題の全体像を把握するところから始め、認知(頭に浮かんでくる考えやイメージ)や行動にアプローチして、悪循環を断ち、問題解決を目指していきます。
CBTはうつや不安といったメンタルヘルスの問題に対する治療法としてだけではなく、再犯予防や、健康な人のメンタルヘルスを良好に保つためのセルフケアの手段としてエビデンス(科学的根拠)があることが様々な研究によって示されています。CBTには様々な技法があり、代表的なものに問題解決法、セルフモニタリング、マインドフルネス、認知再構成法、行動活性化、エクスポージャー(暴露療法)、リラクセーション法などがあります。これらの技法を必要に応じて選択したり、組み合わせたりして取り組んでいきます。CBTに即効性はなく、これらの技法を日々コツコツと練習し、実践を続けるなかで、症状が改善したり、セルフケアのスキルが上がったりするなどして、じわじわと効果があらわれてきます。
認知再構成法はそんなCBTの技法のひとつで、「過度にネガティブな感情や不適切な行動と関連する非機能的な認知に気づきを向け、それを様々な角度から検討し、より適応的で機能的な認知を再構成、組み直すための技法」です。簡単に言えば「認知の柔軟性を高めるためのスキル」で、CBTの技法のなかでも汎用性が高い技法です。技法やスキルというとちょっと難しく思えますが、実は私たちが普段何気なくやっているちょっとした「思い直し」が、まさに認知再構成法なのです。嫌なことを思わず考えてしまった時に「まぁでも、こういう風に思っておけばいいか」と思い直したり、何か気がかりなことがある時に「ま、いいか。放っておこう。」と思い直したりすることも少なくありませんよね。メンタルが健康な人は、このような思い直しをさほど意識せずに普段から自然とできているのかもしれません。慣れていないと難しい気がしますが、練習すれば自然とできるようになっていきます。1つの思考にとらわれず、いろんな角度から考えてみることが大切です。
CBTや認知再構成法にご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
引用・参考文献 世界一隅々まで書いた認知行動療法・認知再構成法の本 2022年 伊藤絵美
臨床心理士・公認心理師 宇都宮香織