ブログ|福岡市西区姪浜の心療内科・精神科|ひとやすみこころのクリニック

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うつ病の適切な治療とは

うつ病は感情や意欲にかかわる脳のはたらきに問題が起きている状態と考えられています。ストレスや環境、遺伝など様々な要因が考えられていますが、はっきりとはわかっておらず、日本で行われた調査では生涯のうちに約15人に1人がうつ病にかかるという身近な病気です。社会的損失は年間約2兆円になると報告した文献もあり、社会的にもインパクトが大きいです。またうつ病は3割ほどが難治化すると言われ、治療を適切に行うことが重要です。

 

適切な治療とはエビデンス(研究データ)に基づき、寛解(回復)に至る可能性が高い治療を選択していくことです。今回はそのエビデンスの集積である「日本うつ病学会治療ガイドライン」をわかりやすくまとめてみました。治療の参考としてもらえば幸いです。

 

①うつ病の診断はどのように行われるのか

現状では診断に役立つ検査は確立されていないため、精神症状によって診断される。ただし身体疾患(脳卒中や甲状腺疾患など)を除外するためにも血液検査や頭部画像検査が必要となることがある。また診断確定には双極性感情障害との鑑別上、生活歴や家族歴なども重要となる。

 

②うつ病の治療には何があるか

うつ病の多くは外来治療となるが、切迫した自殺念慮がある場合や療養に適さない生活環境の場合は入院治療が考慮される。急性期の治療として療養(脳の休息)が基本となるが、うつ病では否定的認知(病気ではなく怠けである)に傾きがちなため、適切な療養をとれるよう心理教育を行う。中等症以上のうつ病には積極的に薬物療法を検討する。その他の治療として心理療法(認知行動療法、精神分析、対人関係療法など)、電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激療法、運動療法、高照度光療法などがある。

 

③症状が安定した場合、薬物治療は減量や中止ができるか

抗うつ薬の再燃予防効果が立証されており、減量や中止すると再発率が増加するため、薬物療法は維持することが強く推奨される。初発の場合は寛解後4~9カ月、またはそれ以上の期間、急性期と同用量で維持し、再発の場合は2年以上維持することが強く勧められる。

 

以上、簡単にまとめてみました。最後までお読みいただきありがとうございます。治療のご相談がある場合は当院でご相談を承っております。

院長 柳原孝章

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