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少しずつ温かい日が増えてきました。桜の開花情報を耳にすると、もうすぐそこに春が来ているんだなぁと実感します。春は何かと変化が大きい季節です。環境が大きく変わる方もいらっしゃると思います。大きな変化がなくても、なんとなくそわそわしたり、普段よりも気分の浮き沈みがみられたりするかもしれません。ストレスを感じやすい年度初めは特に、ご自身のストレスケアを意識してみるとよいかもしれません。ぜひこの機会に一度ご自身のコーピング(※コーピングとはストレスに対する意図的な対処=自分助け)を確認してみてください。
「好きな音楽をきく」「美味しいスイーツを食べる」「とにかく寝る」「走る」など、だれでもいくつか思い浮かぶ「自分助け」があると思います。それを「ストレスに対する対処」として意図的に行っていくのであれば、すべてコーピングです。コーピングは質より量が重要です。多ければ多いほど、選択肢が増えるからです。
職場、学校、家庭、友人関係など、わたしたちは生きているだけで、いくつものストレス環境にさらされています。それによって引き起こされるストレス反応もさまざまです。その中で、「今回はこれを試そう」「前回はこれを使って効果がなかったから、今日はこっちで試してみよう」というふうに、ストレスに応じてさまざまなコーピングを試してみることが大切です。
さらに選べるということは、依存しなくてすむということにもなります。スイーツを食べることがコーピングだとしたら、そればかりしているとお金が減ったり、健康に悪影響が出たりする場合もあります。その点、コーピングのレパートリーが100個あれば、1個がだめでも他に99個あります。“しょぼい”ものでもOKです。「夕食時に飲むビールを想像する」「プチプチをつぶす」「背伸びをする」など少しでも自分助けになっていたら、ぜひコーピングレパートリーに加えてください。いつでもどこでも、すぐに試せるローコストなコーピングをたくさん用意しておけば、次から次へと試していくことができます。
やけ酒や人に八つ当たりすることもコーピングの一つですが、効果が続かなかったり、健康や対人関係に悪影響が出たりする可能性があります。それよりも、もっと楽しくて健康的で、負担の少ないコーピングを選んでいただきたいと思います。そのためのコーピング選びのコツは「効果」と「コスト」です。コーピングレパートリーを増やすためには、時間、お金、健康、対人関係などの「コスト」と、「効果」を考えます。コーピングを選ぶときは、どれだけお金がかかるのか、健康を害さないか、だれかとの関係が悪化しないか、というコスト面を意識するようにしてください。パッと思いつかなくても紙やスマホにメモしてリストを作っておくと、思いついた端から加えていくこともできますし、ストレスを感じたときにそのリストから選ぶこともできるのでおすすめです。コーピングのレパートリーを増やすことで、自分助けが楽に上手になっていきます。
引用・参考文献 コーピングのやさしい教科書 2021年 伊藤絵美
臨床心理士・公認心理師 宇都宮香織