ブログ|福岡市西区姪浜の心療内科・精神科|ひとやすみこころのクリニック

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今使いたいのは、これじゃない!「生き残り戦略の残存」  ~3つのFの話~

青空に花映える季節となりました。いろいろな変化のあった方々もいらっしゃるかと思います。

2025年2月より心理士として入職いたしました、深川珠央と申します。トラウマ、ストレスによる身体症状を専門に臨床活動をしております。よろしくお願いいたします。

 

さて、突然ですが、目の前に突然、宇宙人がやってきたらどうしますか?

宇宙人、初対面ですが、ギラギラ光る眼に、手足がたくさん、何やらご立腹の様子で大きな声を出しながら手足を振って暴れています。

即座に逃げる人もいれば、戦闘態勢をとる人もいるかもしれません。その場で固まってしまう人もいるでしょう。

 

この時、私たちの身体では、

・闘争:Fight戦うモード(交感神経系)

・逃走:Flight逃げるモード(交感神経系)

・凍結:Freeze固まるモード(副交感神経背側迷走神経系)

主に上記の反応(頭文字をとって「3つのF」と呼ばれます)を起こします。「危険だ!」と判断した脳が身を守るために起こさせる、生き残り戦略としての反応です。

 

その結果、何とか事態を乗り切って安全な場所にたどり着き、心身の安寧を取り戻せたとしましょう。しばらくは「また来るかも」と、少しの物音でも緊張する、眠れない、動悸がする、部屋にこもる、宇宙人がいた場所に行けなくなるなどのFight-Flight反応(過覚醒症状、回避症状)が起こるかもしれません。脱力する、布団から起き上がれない、頭の中が真っ白になるなどFreeze反応が出る方もいるかもしれません。「宇宙」の文字を見ただけで、あの日の恐怖や記憶が頭に蘇るかもしれません(再体験症状)。

ひとまず再来はなく、「危険が過ぎ去り、“ほどほど安全な世界”が再訪した」と脳が判断すると、普段の生活を自然に取り戻していけます。脳が「終わったこと」として処理を始めた状態です。

 

しかし、出来事の衝撃が深く心身に刻まれた、過去に似た経験があった、ストレスを強く体験していたなど、様々な要因により、“危険はまだ続いている”と脳が判断する場合があります。その際には、本来出る必要がない場面でも3つのFの反応・言動が引き起こされてしまうことがあります。例えば、お気に入りのキラキラ輝く指輪がはめられない(Flight反応)、工事の大きな音に異様にイライラする(Fight反応)、脚が複数あるタコの絵を見ただけで血の気が引く(Freeze反応)などです。

 

 

 

 

 

このように心の傷が解消されないままの状態なので、現在の自分が“対応”する前に、身体が自動的に“反応”してしまいます。自分の心と体がコントロールできず、「なんでいつもこうなってしまうのか…」と悲しい思いをしてしまうことになるかもしれません。

 

今、目の前で起きている1つ1つの体験を味わって、現在のご自身を生きていくためにも、心身が安全を再び取り戻して、少しずつ代謝していけるようにお手伝いができればと思います。

 

臨床心理士・公認心理師 深川珠央

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