ブログ｜福岡市西区姪浜の心療内科・精神科｜ひとやすみこころのクリニック姪浜院

まもなく新しい年を迎えようとしています。ブログを読んでくださっている方の中には、1月から復職を予定している方もおられるでしょう。戻れる場所があるという安心と同時に、「本当にやっていけるのだろうか」と不安や焦りが湧いてくることもあると思います。

不安は、未知の出来事に向き合うときに自然に生まれる感情です。不安があるからこそ、心構えを整えることができます。その気持ちを押し込めず、「今の自分はこう感じているんだ」と大切にしていただけたらと思います。

気分や睡眠、食欲などが回復し、日常生活がある程度送れるようになっても、いざ復職してみると、
・集中しづらい
・作業の手順が思い出せない
・小さなミスが増える
といったことが起こり、「やっぱり自分はダメなんじゃないか」と落ち込んでしまうことがあります。

しかし、これは決して珍しいことではありません。うつ病の回復には段階があり、仕事を進めるための認知機能は、気分や日常生活の回復よりもゆっくり戻ることが多いとされています。
つまり「遅れている」のではなく、「自然な順番で回復している」だけなのです。

とはいえ、周りの同僚が忙しそうに働く姿を見ると、申し訳なさや取り残されたような気持ちになり、つい無理をしてしまうこともあるでしょう。うつ病のガイドラインでも、『その時点で患者自身ができると思う程度の半分ぐらいの負荷量から活動を再開し、徐々に強度を引き上げるなど、慎重な配慮が必要』とされています。焦らず、段階を踏むことが大切です。

復職はゴールではなく、そこから続いていく道の始まりです。復職を経験した多くの人も、同じような不安や戸惑いを抱えながら、少しずつ回復を実感していきました。復職を経験した方々の生の声を紹介した過去のブログも参考になさってください（以下のタイトルをクリックしてください）。先輩たちの声が、あなたの足元を照らす道しるべになればと思います。

参考ブログ：

・復職までのこころの道のり（2022年2月掲載）

・続・復職までのこころの道のり（2024年9月掲載）

参考資料：日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病（DSM-5）/ 大うつ病性障害 2016

ひとやすみこころのクリニック姪浜院
福岡市西区内浜1-1-5
臨床心理士・公認心理師　石澤　桂子