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刺激の多い時期を程よく過ごす

さて、4月を目前に、春風が心地よい季節となりました。桜の蕾がふっくら丸くなって、少しずつかわいらしい桜色を見ることができるようになってきましたね。

 

新年度が始まるにあたり、みなさんお気持ちや体調はいかがですか?

春は別れと出会いの季節と言われ、寂しさや不安、または新しいことへの期待など複雑な感情が入り混じる季節だと思います。

 

今回、この記事を読んでくださっている方の中には、4月を迎えるにあたって、なんとなく落ち着かない気持ちの方もいるかもしれません。そこで、今回は”落ち着かない時期を程よく過ごすためには”ということをテーマに、お話をしたいと思います。

 

1.「過ぎたるは猶及ばざるが如し」(すぎたるは なお およばざるがごとし)

これは論語に由来することわざで、「何事でもやり過ぎることは、やり足りないことと同じようによくない」(デジタル大辞泉、小学館より)物事を真面目に頑張ることは良いことと認識されがちですが、それが度を過ぎて「無理」をすると、何もやらないことと同じように、何らかの弊害があるということです。

 

慣れない環境に入っていく人、周囲の環境が大きく変わる人は知らないうちに「無理」をしてしまう場合があります。もちろん、お腹にぐっと力を入れて頑張る時はあっても良いと思います。ただ、それが頑張りすぎて無理をしていることになっていないか、常に頑張っている状態にないか、折々で自分を確認し、「程々に調整する」ことが大事ともいえると思います。

 

2.ポリヴェーガル理論で考える「程よく過ごす」

この「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の考え方を心理学の理論からとらえ直したいと思います。

 

さて、みなさん、「交感神経」と「副交感神経」というのを耳にしたことはあるでしょうか。おそらく、聞いたことがあるなという方がいらっしゃると思います。それぞれ、「頑張る神経」と「リラックスする神経」と覚えている方もいると思います。

 

今回紹介するポリヴェーガル理論は、この「副交感神経(リラックスする神経)」を二つに分けた考え方です。名称に漢字が多いので、「ポリヴェーガル理論」がやさしくわかる本(吉里、2024)を引用して、以下のようにご紹介してみたいと思います。

 

①「赤:交感神経」…「動く・活動する」ときに動く神経です。心配、不安、恐怖、落ち着かないなどの逃げたくなる感情や、不愉快、不機嫌、怒り、憤慨といった戦いたくなるような感情が生じます。昔からある日本語の表現としては「頭に血が上る」「腹が立つ」「口を尖らす」「青筋を立てる」といった表現の体の状態になります。

 

②「青:背側迷走神経複合体」(副交感神経①)…「止まる・休む」ときに働く神経です。憂鬱、悲しみ、あきらめ、途方にくれる、罪悪感、無力感、無感動などブレーキをかけられたような感情が自動的に生じます。昔からある日本語の表現としては「頭がうなだれる」「顔色を失う」「目を覆う」「腰を抜かす」「足が重い」といった表現の体の状態になります。

 

③「緑:腹側迷走神経複合体」(副交感神経②)…「安全な場所にいる・安全だと感じられる」ときに働く神経です。赤と青の調整をするチューニングの神経とも呼ばれます。安心感、安全感、信頼感、穏やか、平和、あたたかい、好奇心、感動的、一体感、誇らしいというような感覚になります。昔からある日本語の表現としては「目を細める」「息が合う」「ほっぺたが落ちる」「手を合わせる」「府に落ちる」「心が躍る」「心を開く」といった表現の状態になります。

 

さて、新年度を迎えるにあたって、みなさんは何色を特に感じますか?

 

心配や不安で落ち着かない、興奮している、焦っている、スタートを頑張らなくてはと思っているなど、神経系が高ぶって「赤」を強く感じている人もいるかもしれません。

やる気が出ない、落ち込む、人と話したくない、悲しい気持ちになるなど、神経系が低い状態で「青」を感じている人もいるかもしれません。

 

「え、赤や青の状態にあるなら、変えなきゃ」

そう思った方もいるかもしれません。

無理に変えなくて大丈夫です。

心はそのときに自然と感じているもので、赤と青はそのままでいいのです。

赤や青の状態の自分を否定すると、それを感じている自分自身も否定しているようで、却ってきつくなったり、赤や青がより強くなったりするかもしれません。

ただ、そのままだと、自分自身がきつかったり、バランスがとりづらかったりすると思います。

 

ここに、「緑」の状態が登場すると、自分が「程よくいられる調整」ができ、バランスをとりやすくなって、自分自身が整っていきます。

 

3.緑(腹側迷走神経複合体)を理解して味方につける

みなさんは、安心感や安全感を抱くとき、どんな刺激に出会ったときでしょうか?

「外で嫌なことがあって、イライラして帰ったら、家族が私を迎えてくれて、ふと力が抜けて笑顔になってしまった」(赤から緑にシフトしたとき)

「仕事に行くのが嫌だなと思っていたら、ふと好きな歌い手の新曲が流れてきて、わくわくした清々しい気分になった」(青から緑にシフトしたとき)

「書類作成の作業を熱心にしていたら疲れて机に突っ伏した。グーッと背伸びをしたら、窓の外の雲がない真っ青できれいな空に気づいて、爽快な気分になった(赤から青、そして緑にシフトした)

 

上記の例では、家族、好きな歌い手、きれいな空がその人にとって緑になれる刺激です。緑になれる刺激に出会うと、安心感や安全感を抱けて、自分にとって大切な存在、大切なものということになります。

 

こうした自分が安心するものとつながることで、心身が自然と緑の状態になります。

そうすると、自然と過剰な赤や青が相対的に減っていくのです。

緑が活性化している状態では、今ある環境や自分のコンディションを観察する余裕が生まれます。

そのため「程よく自分を調整する」ことがしやすくなるのです。

 

みなさんにとって、自分が「緑」になれる刺激はどんなものでしょうか?

 

いろんな刺激の多いこの時期、「自分にとっての緑探し」をして、ホッとする、穏やかになれる、のんびり過ごせているを見つけてぜひじっくりと味わってみてください。

 

引用:「ポリヴェーガル理論」がやさしくわかる本 吉里恒昭著 2024 日本実業出版社

 

ひとやすみこころのクリニック姪浜院
福岡市西区内浜1-1-5
臨床心理士・公認心理師 穂口 まな

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