ブログ|福岡市西区姪浜の心療内科・精神科|ひとやすみこころのクリニック

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身近な人のSOSに気づいたら

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先日、昨年度に不登校とみなされた小中学生と自殺された小中高校生が過去最多だったと報じられました。その背景としてコロナ禍による一斉休校や在宅時間の増加など生活環境の変化が挙げられていました。当院にもコロナ禍の影響で心身の不調をきたした方が多く受診されています。問診票の「相談できる人がいるか」の項目に「いない」とチェックされる患者様も多く、自分から助けを求めることはとても難しいことだと改めて気づかされます。

 

そこで、今回はご家族や身近な人が気づきやすい心のSOSと、気づいた時の心構えについてお伝えいたします。

 

〇周囲が気づきやすい心のSOS(例)

  • 頭が痛い、お腹が痛い、吐き気がするなど、体の不調を言うことが増えた
  • 朝起きられない、睡眠時間が不規則になった
  • 食べる量が減った、増えた、体重が急に変化した
  • お酒やたばこの量、ゲームをする時間が増えた
  • 表情が暗い、口数が減った、笑わなくなった、目を合わせなくなった
  • 身なり(服装やお化粧など)に気をつかわなくなった、風呂に入らなくなった
  • ぼーっとしていることや一人でいることが多くなった
  • ささいなことでイライラしたり泣いたり、大声を上げたりすることが増えた
  • 小さなことが気になっている様子(何度も手を洗う、カバンの中身を確認するなど)
  • ミスや不注意なことが増えた(忘れ物やなくし物、約束を忘れる、ケガをするなど)
  • 自分はダメだ、迷惑をかけている、消えたいなど否定的な発言が目立つようになった

 

ここで大切なのは、「いつもとは違う」という変化をキャッチすることです。

 

〇SOSに気づいたら

まずは、いつも通りを心がけます。SOSに気づいたら動揺するのはごく自然なことですが、焦って問いただしたり腫れ物に触るようにしてしまうとご本人をさらに不安にさせてしまいます。いつもと変わらない声の大きさや表情を意識するとあなた自身の気持ちも安定してくるものです。

 

話が聴けそうな時は、以下のことを念頭におくとお互いに話しやすくなります。

・忙しい時間帯を避け、気持ちに余裕を持てる時を選ぶ。

・家事などの手は止めて、話を聴くことに集中する。

・自分の気持ちや意見は脇に置く。励ましや助言をしたくなってもぐっとこらえる。

・話をさえぎらず、その人の置かれた状況や気持ちを思い浮かべる。

・「つらい」、「不安」など気持ちを表す言葉には、大きくうなずいたり言葉をくり返したりする。ご本人の気持ちがあなたに伝わりやすくなります。

・話された内容を時々くり返す。ご本人も考えを整理しやすくなります。

・あなたにどうして欲しいと思っているかも聴いてみる。一緒に考えようとする気持ちが伝わります。

 

最後に、一人で頑張ってきたことをねぎらい、「話してくれてありがとう」と伝えてください。「話してよかった」、「一人じゃない」と思えるだけで心がほっとします。

 

〇みんなで支え合いましょう

つらい気持ちを聴くことはあなた自身にとっても苦しいことです。一人で抱え込まず身近な方と一緒に対処するようにしましょう。そして、専門家の力を借りてください。当院の場合、ご本人が受診できなくても医師による家族相談を受けられますし、ご家族が相談者としてカウンセリングを受けることもできます。ご本人が支えられることはもちろん、周囲の方々も支えられることで、よりしなやかな支えの輪になっていきます。

臨床心理士・公認心理師 石澤 桂子

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