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メンタルヘルスで大切なことの一つに「自分を大切にする」ということがあると思います。当たり前といえば当たり前のことですが、いざ自分の生活を振り返ってみるとなかなか難しいのが実情ではないでしょうか。そもそも「自分を大切にする」とはどんなことなのか。

スポーツ選手はよく「自分らしくプレーができました」「自分の相撲がとれました」「今日は自分のゴルフができました」といった表現をしますが、雑念や変な欲、あるいは人からどう思われるかといった不安などに染まらない、素直な気持ちで試合やゲームに臨めた時に自分らしさを感じるのだと思います。
自分を見失いそうになった時にふと誰かの一言で我に返る、という時のこの「我」というのも、自分を大切にする、という時の「自分」といえるでしょう。
自分を見失っている時には自分を大切にすることが出来ません。道端に健気に咲く花を見ても何とも思わず、広大な夜空に浮かぶ星々がただの点々に見えます。そうしたものの存在にすら気づかず、心配事に囲まれ、スマホ人間になり、パチンコやアルコール、他の誰かに依存することもあるかもしれません。
誰かに自分を非難された時も私たちは自分を見失いがちです。「誤解だ」と相手の無理解に怒りを感じてひどい言葉で相手を非難するかもしれません。逆に自分を守る準備ができていないとモラハラを受けても冷静に判断できずに自分を責める材料にする危険があります。
一つの軸となる考えとして提案したいのは、人間性を大切にする、という視点です。ここでいう人間性というのは、一人ひとり違う人間性のことではありません。私たち人間みなに共通する、人間を人間たらしめる人間の尊厳といっても良いものです。
食べ物の場合、私たちは自分の体に良いものを摂取し、毒になるものは避けようとします。そうしないと当然体の状態は悪化し、病気になります。ところが人間性の視点で見ると、私たちはよく自分たちの人間性をダメにしてしまうもの(考えやイメージなど)を簡単に取り込んで苦しんだり、あるいは他人を傷つけたりしてしまいます。
もし自分の言動が相手を傷つけてしまったと分かった時にどうしますか。自分はダメだ、と一方的に責める姿はどんな風に見えるでしょうか。おそらく「確かに反省した方がいい面はあるけどそこまで自分を否定しなくても良いのでは」と思いますよね。
自分の何がいけなかったのか、相手を傷つけてしまったのはどんな配慮が足りなかったのか、相手を尊重する気持ちが欠けていたのかなど、人間性の視点から自分に向き合っている姿はどうでしょう。自分の人間性を傷つけていないし、相手の人間性を尊重しようとしているし、何か見ていて応援したくなるでしょう。
誰かに非難されたと感じた時や自分で失敗したと感じた時はその内容を吟味し、自分や相手の人間性を守ることにつながる情報は活かし、傷つける内容からはしっかりと守ります。バナナの皮まで丸ごと食べる必要はありません。詐欺の電話がかかってきたらすぐに切るのが安全です。
「自分はダメだ」「あいつは最低だ」など人間性から切り離された考えやイメージはウイルスのように簡単に頭の中で増えて自分を見失わせ、自他を傷つけていきます。特にストレスや不眠で疲れている時や心に傷を負っている時はそうです。まずは心身の疲れや傷を癒し、ウイルススキャンするように日々の思いを時々点検して人間性を守ることを意識してみてください。
ひとやすみこころのクリニック姪浜院
福岡市西区内浜1-1-5
医師 小川哲男