セルフケア|福岡市西区姪浜の心療内科・精神科|ひとやすみこころのクリニック姪浜院

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セルフケア

安全に使いやすい睡眠薬を解説します

不眠症の治療薬にはさまざまな種類がありますが、近年発売され、いままでの睡眠薬と比べて依存性が問題となりにくいと言われている「オレキシン受容体拮抗薬」が注目されています。

オレキシンとは、脳の覚醒を維持する働きを持つ神経伝達物質です。オレキシン受容体拮抗薬は、この働きを抑えることで、眠りに入りやすくするとともに、睡眠を維持しやすくする薬です。現在、日本で使用されているオレキシン受容体拮抗薬は、ベルソムラ、デエビゴ、クービビック、ボルズィ(発売順)の4剤です。同じグループの薬ですが、それぞれ特徴が異なります。

  • 4剤目の「ボルズィ」が登場して約1年

2025年に発売されたのが、オレキシン受容体拮抗薬の4剤目となるボルズィ(一般名:ボルノレキサント)です。発売からそろそろ1年が経過し、当院でもこれまでに152人の患者さんにボルズィを使用してきました。ボルズィの大きな特徴の一つが、薬が体内から比較的速やかに減っていくことです。半減期は約2時間とされており、4剤の中では最も短い薬剤です。また、発売当初は新医薬品であるため1回14日分までという投与期間の制限がありましたが、2026年11月からは長期処方が可能となる予定です。これまでより継続的な治療にも使用しやすくなります。

  • 4剤の特徴を比較(筆者の知見含む)
  1. ベルソムラ(スボレキサント)は、2014年に発売された最初のオレキシン受容体拮抗薬です。緩やかに効いてくる薬なので、夜中に目が覚める中途覚醒に効果的です。半減期は約12時間で朝に残ることがあるので注意が必要です。
  2. デエビゴ(レンボレキサント)は2020年に発売されました。入眠困難と睡眠維持の両方に使用され、2.5mg、5mg、10mgから用量を調整できます。印象としては4剤の中で効き目が強く、オレキシン受容体拮抗薬以外の薬をすでに服用されていて、オレキシン受容体拮抗薬に変えてみたい方や他のオレキシン受容体拮抗薬で効きがイマイチの方にお勧めです。ただし半減期は比較的長く、約47時間とされており、高用量で使用する場合に持ち越しやすいです。
  3. クービビック(ダリドレキサント)は2024年に発売された薬剤です。25mgと50mgがあり、半減期は約6~7時間と、ベルソムラやデエビゴより短めです。持ち越ししにくいので、入眠困難と中途覚醒があり、いままで薬を飲んだことがない方に向いています。
  4. ボルズィ(ボルノレキサント)は、2025年に登場した4剤目です。2.5mg、5mg、10mgがあり、半減期は約2時間という特徴があります。入眠困難で困っている方にお勧めです。
  • 「どの薬が一番いい?」ではなく、症状に合わせた選択を

4剤は同じオレキシン受容体拮抗薬ですが、薬が体内に残る時間や用量、併用薬への注意点などには違いがあります。「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚めてしまう」「翌朝の眠気が気になる」など、不眠の症状は人によってさまざまです。またオレキシン受容体拮抗薬は悪夢がでやすい副作用が報告されており、オレキシン受容体拮抗薬より他の睡眠薬のほうが合っている方もいらっしゃいます。そのため、「新しい薬だから良い」「半減期が短い薬が良い」という単純なものではありません。不眠のタイプ、生活リズム、翌日の予定、年齢、併用している薬などを考慮して、一人ひとりに合った薬を選択することが大切です。

当院では、これまで多くの患者さんにオレキシン受容体拮抗薬を使用してきました。眠れないことでお困りの方は、薬だけに頼るのではなく、睡眠習慣や生活リズムなども含めて一緒に治療方法を考えていきますので、お気軽にご相談ください。

参考文献
Transl Psychiatry. 2026 Mar 16;16(1):149

ひとやすみこころのクリニック姪浜院
福岡市西区内浜1-1-5
院長 柳原孝章

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